金正恩は力づくで「中国の影」を葬った
金正男という最後のカード シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑤
中国の影を葬り去るため
核とミサイルによる先軍政治を国策とした金正日体制を継承し、さらにそれに拍車をかける金正恩体制について中国は、北朝鮮の経済的な自立は見込めないと分析しています。事実、北朝鮮の政権は金正日体制以来、経済の八割を中国に依存しているのが実情です。
経済成長最優先の政策を採る中国にとって、隣国である北朝鮮の安定は必要不可欠です。
もし、北朝鮮に混乱が生じた場合、中国は「金正男氏擁立」も重要な選択肢の一つにしていました。中国式改革開放を推し進めようとしていた張成沢が、金正男氏擁立の計画を中国に話したことは前述した通りです。
中国にとって金正男氏の存在は、最大にして最後の北朝鮮圧迫のカードであったのです。中国は、金正恩体制が破綻した際には、思想的に近い金正男氏を平壌に送り込み、北朝鮮の指導者として擁立する計画を立てていました。
それに対して金正恩が決断したことは、張成沢をはじめ金正男氏までも含めた中国の影を葬り去ることだったのです。
(『北朝鮮の終幕』より構成)
〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑥は2日後に配信します。〉